「2014語り部交流会inあきた」を開催しました

2015年2月2日

Filed under: お知らせ — 水土里ネット秋田 @ 11:48 AM

◇◆三堰が語る農地・水の多面的役割◆◇

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1月29日、秋田市の遊学舎で「2014語り部交流会inあきた」が開催され、約200人が訪れました。

この会は、仁井田堰土地改良区・秋田市旭川筋土地改良区・秋田市孫左衛門堰土地改良区が主催し、秋田地域振興局農林部が共催、本会も後援をしたイベントです。

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秋田市旭川筋土地改良区の荻原事務局長が司会・進行を行い、はじめに仁井田堰土地改良区の熊井理事長が「私達3土地改良区は、太平山の山麓を水瓶として、先駆者の艱難辛苦による疏水の開鑿や隧道の開発により、今日の水田地帯に至っています。私達米作りの歴史と、田園地帯の空気清浄地帯としての役割を温存するという役割や混住化社会の中でも私どもの風土を大事に維持しながら、農業振興地域の活性化を図って繋いで行ければなと思います」と挨拶を行い、この会の開催に期待を込めていました。

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次に「三堰物語~水と緑が一番大事~」というテーマで、あきた森づくり活動サポートセンターの菅原所長が三堰それぞれの歴史や、治水・利水について基調講演を行いました。菅原所長は「私も現在『秋田森づくりサポートセンター』で活動していますので、この3つの堰の先駆者の中では鎌田孫左衛門さん(秋田市孫左衛門堰)に大賞をあげたいと思います。彼は、治水・利水をしただけではなく、植林を積極的に行う等、「水源の森づくりをした」という点で、個々のかんがいからすべて繋げて合理的な水系社会を作ったため高く評価をしたいと思います。この三堰物語で一番感じるのは、水があって初めて田んぼが開け、村も発展してきたということです。そういう意味で『水と緑が一番大事』、結論はこういうことになりました。土地改良区の方々や受益者の方々に、水を利用するだけではなく、水源の森づくりにも興味を持ってもらえたら、非常にありがたいと思います」と締めくくりました。

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「三堰の歴史の継承、地域学習、保全管理に関する活動報告」では、仁井田堰土地改良区の伊藤事務局長がふるさと水と土指導員の立場から自身の改良区で10年間行った「水土里のみちウォーキングin仁井田」についてその分析を行い「JAと連携して参加者にお米をプレゼントしたり、ゴールに地元の朝採れ野菜の産直コーナーを設置する等普段の仕事だけでは接することのない方達とも繋がりが出来、また、長い間の開催を支えたのはスタッフへの感謝の言葉のおかげでした。今は休止中ですが、また機会があれば積極的に活動していきたいです」と話しました。秋田市立外旭川小学校大野校長は「郷土探訪学習では、『ふるさと先生』という形で今日おこし頂いている土地改良区や農業関係の方に沢山協力してもらっています。『穴堰』は外旭川に住む我々には無くてはならないものであったといいうことを、学校のHPにも『穴堰物語』という紙芝居を掲載して探訪の前に児童に説明しています」と先人への感謝と地域学習の大切さについて話しました。

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秋田市孫左衛門堰土地改良区の鈴木事務局長は「管内にある隧道は総延長540m、長いところは130mも続いていて、冬に凍りが着くと崩落する。長いところに土砂が入り込むので取り除くのに難儀していたが、26年度から多面的機能支払い交付金で補修を行っています。150年以上も続いてきた用水を、これからも地域の財産として守っていきたいです」と今後も保全活動に力を入れていく意欲を示しました。

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最後に「三堰が語る農地・水の多面的役割」と題した語りフォーラムが、秋田県立大学の高橋教授をコーディネーターとして行われました。菅原所長は「200年~400年の歴史を持つ地域全体の宝物を非農家の人にも伝えていく活動を積極的に行って行かなければと思います。先人の苦労を伝え、地域の誇りを再発見していきましょう」と会を締めくくりました。

※詳しいフォーラムの内容は3月末発行の「大地の恵みVOL16」に掲載予定です