2016語り部交流会inあきた

2017年1月23日

Filed under: お知らせ — 水土里ネット秋田 @ 2:37 PM

◇◆今年は北秋田市での開催◆◇

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1月19日、北秋田市交流センターで秋田県北秋田地域振興局と秋田県土地改良事業団体連合会大館・北秋田支部主催の「2016語り部交流会inあきた」が開催された。

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はじめに主催者を代表して大館・北秋田支部の畠山理事長が「北秋田地域は、県内ではまとまった農地が少なく、里地里山と言われる所であるが、河川やため池などから水を引く技術を築き、利水・治水を地域の共同活動の両輪にしてきた。今後も様々な地域活動に防災・減災振興を絡めて取り組んでいきたい」と挨拶を行った。

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基調講演ではあきた森づくり活動サポートセンターの菅原徳蔵所長が「ブナ帯文化のふるさと~水の郷in北秋田~」と題し、ブナ帯文化のふるさととして北秋田市があり、阿仁銅山の発展に伴い、水路を確保することが始まったそう。そこにはマタギ文化も大きく関わっており、炭焼きとして雇われていた者は低賃金のため、旅マタギとして国を出た者もいたようだ。後に長岐家7代目の長崎七左衛門が鉱山技術を活用し、断崖絶壁に水路トンネル(中堰)を作ったり、木製掛樋で黒森沢大堰留堤などを完成させた事などを話し、先人から受け継がれてきた知恵を大事にしながら里地里山の保全を進めていくべきとした。

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次の実践報告では、元竜森小学校PTA会長の清水氏が「地域と学校で共に育んだ水源林」として植樹の大切さや、全国コンクールでの準特選受賞、最後にはノースロップ賞という日本一の賞にまで輝いたこと、また、昭和29年に植樹した学校林が平成27年で60年を迎え伐採することとなり、多くの方が学校林の下で共に集まり、60周年記念感謝祭を行ったことも話された。全体を通して、強く水源涵養保安林の大切さを訴えていた。

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続いて、七日市公民館長の佐藤和博氏が「おさるべ川の子どもたち」と題し、江戸時代の肝煎だった長岐家のある七日市地域で行っている小学生との自然体験について話された。「おさるべ川探検隊」は仲間と一緒に川に飛び込み水中昆虫を探したり、自然とのふれ合いはゲームに負けていないことを説明した。また、岩堰・堰根留の見学も小学校の活動として行っており、江戸時代にたがめとのみで削ってできた後がのこっているこの地域では、当時の人達の大変さの息づかいが聞こえてくるようだと話された。

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北秋田市土地改良区の山内事務局長は、「鷹巣三堰の歴史とその継承」と題して、米代川を取水源とする太田堰・坊沢堰・鷹巣堰が洪水により崩壊したことに伴い、三堰を合同する計画を樹立。昭和41年、三堰築造から300年で合同取水施設(揚水機場)が完成した。仕組みとしては、米代川の河底を横断する逆サイフォンを使って吐出口まで導水しており、好天が続くと揚水機の運転に負荷が掛かっていた。恒久的な対策が求められ、昭和61年、河床を掘削して床止工を実施した。山内事務局長は、そのような堰の歴史を、改良区の記念誌や小学校のふるさと学習で今も語り継いでいるそう。現在ある土地改良施設は前人達の知恵や労力、資金によって築かれたものであり、今ある施設の重要さを後世に伝えるため、土地改良施設の適切な維持管理に努めていくと話された。

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その後、登壇者等により語りフォーラムが行われ、オブザーバーとして参加した県農林水産部の瀧川次長は「遠い実践(菅江真澄など)と近い実践(実践報告者)が聞けた、世代を超えて、知識や知恵をつないでいくことの重要性を感じた」と話し、山内事務局長は「北秋田市土地改良区として合併の認可が下りて今日でちょうど1年。土地改良区の歴史は、土地改良施設の歴史といえる。HPや動画など、以前はなかったものがどんどん増えている。今後は記憶より記録を残していくことが、後世に伝えていくための手段になるのではないか」と結んだ。

 

秋田県農地整備課のHP

http://www.pref.akita.lg.jp/pages/archive/21687

 


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