「2015語り部交流会inあきた」に行ってきました

2016年2月8日

Filed under: お知らせ — 水土里ネット秋田 @ 1:44 PM

◇◆水と人のつながりは、まさに土地改良そのものです◆◇

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1月28日、横手市平鹿生涯学習センターで「2015語り部交流会inあきた」が開催され、約300名が訪れました。この交流会は、秋田県土地改良事業団体連合会平鹿支部と、秋田県平鹿地域振興局農林部が主催し、横手市と秋田県土地改良事業団体連合会、あきた食料・環境・ふるさとを考える地球人会議の後援により行われたものです。

今年のテーマは「農業農村の『水のつながり』は『人のつながり』」。現在の平鹿地区にあるダムやため池・頭首工などの基幹的農業水利施設は、水不足の苦難を克服するために作り出されてきた歴史と、その施設と用水を守り継承してきた人々の足跡に寄るものとして、それらについて様々な「語り」を通してふりかえる事で、農業農村の根幹は水系社会で、森から里に至るまで「水のつながり」を継承していくことの大切さを再確認するものとされています。

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はじめに主催者代表として、秋田県土地改良事業団体連合会平鹿支部の柴田康二郎支部長が「横手の地でこのようなイベントを開催できて喜ばしい。毎年、語り部交流会を通じて菅江真澄のことをいきいきと伝えてくれる菅原先生にも感謝」と、自身の故郷での交流会の開催を歓迎しました。

基調講演では「水で結ばれた水系社会~山城堰に学ぶ~」と題して、あきた森づくりサポートセンターの菅原徳蔵所長が、「山城堰は、その昔から『暴れ川』である雄物川の洪水に苦労していました。岩盤が弱く杭が効かないところは『草止め』といって柱4本を枠に組み、土俵やくり石を詰め込んで砂砂利の中に埋めるという方法で川止めを行っているもので、川が氾濫すれば何日も水浸しで、胸までつかる湿田であった山城水系の田んぼを守ってきた歴史です。当時の農業と水とのつきあいは現代の私達が創造を絶するほど大変な苦労であったことを物語っています。悲願であった治水から400年がたった今でも、山城水系では今でも毎年春に『堰根祭』を行い、雄物川の恵みに感謝してクキザッコを山城堰に放流し、水に対する畏敬と感謝を表しています。『水』を通してこのように古くから固い絆が出来ている地域は珍しく、今後も水への感謝を忘れず行事等を続けていってもらいたいと思います」とご講演下さいました。

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次に、山城水系土地改良区の太田さんが、「山城堰と堰根祭」と題して事例発表を行いました。「山城堰で300年以上も行われた『草止め』は、雄物川周辺住民による取水行為でしたが、戦後使用する材料の入手が困難となったことや、9月になれば撤去しなければならないこと、水路の老朽化などの理由から、昭和27年に県営かんがい排水事業としてコンクリート製の頭首工及び幹線用水路の改修工事に着手し、姿を消しました。しかし、『水のありがたさを後世に伝えよう』という思いから、毎年春に『堰根祭』を開催しています。お祭りには欠かせない川の恵みであるクギザッコ(ウグイ)を関係者全員でありがたく頂きます。そして、『君子の付き合いは水のように淡泊なので、その友情は永続きする』と残した佐竹義寿氏の法要を行います。土地改良区の仕事も、まさに今回のテーマである『人』と『水』を繋ぐ役割。今後もこの地で、人と水を繋ぎながら共に歩んでいきたいです」と、実際に開催しているお祭りの写真を交えてお話して下さいました。

横手市黒川小学校の酒井浩校長が「森と水と子ども」と題して、「現在の子供たちは『自然欠乏症』に陥っていることが多く、自然体験を通して頭も心も体も鍛えて『生きる力』を育んでいこうと内と外からアプローチを重ねています。学校の内からは、自然と触れる機会を作ること、学校の外からは、休日にボランティアで親子自然観察会を企画したりしています。その中で私が大事にしてきたことは、五感を磨くこと。毎年、「目の不自由な方との自然観察会」をやりますと、感じる心が大切だと感じます。それから、四季の変化に敏感になることは日本人としてなおさら大切にしてきたことだと思います。もう一つは、自分自身が自然の姿に感動できる感性を持ち続けることです。常に人口施設に囲まれているとその感覚が鈍ってきますので、私は週1度でもフィールドに出ることにしています。子どもが将来自然から離れても自然の中で育てられたことは将来の生きる力につながると思いますし、いつかまたおとなになっても自分自身歩いてみようと思いますし、自分の子どもにもそうさせると思います」と森林インストラクターならではの興味深いお話をしてくれました。

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「地域の水の保全・酒造り」として、浅舞酒造(株)杜氏である森谷康市平鹿町土地改良区理事が報告を行いました。「私は現在『天の戸』で知られる浅舞酒造で杜氏をしていますが、何十年とやってきて、周りの人から気付かされた『水のありがたみ』についてのエピソードをお話します。以前息子と、夏休みの自由研究で『水源を探す旅』に出てみました。そこで分かったのは、川には2つの川があり、一般に言う川が『目に見える川』だとすると、もう一つは『目に見えない川』、地下を流れる大昔の川があるということです。奥羽山脈に降る雪と雨は、皆瀬・成瀬の川を作り横手盆地を潤し、『目に見える川』はその水を使って稲を育てます。その米を育てる川の水の一部は、昔の川につながり地下にもぐり、見えない川は伏流水となって蔵の湧水『琵琶沼寒泉』となり湧き出します。いつしか、ここ横手盆地で育てた酒米と湧水だけで「天の戸」を醸したいという思いが芽生え、2011年、蔵から半径5キロの酒米と湧き水での『全量純米酒』宣言をしました。他にも『稲の花見』を開催して、全国各地からお客さんが来てくれます。そのとき『何にもないところでなんて言わないで。何にもなかったらここまで来ませんよ』と、ふるさとの良さをよそから来た人に教えられました」と感慨深げに話してくれました。

のちに開催された「パネルディスカッション」では、徳島から横手市大森町に嫁いでこられた平元美紗緒さんをコーディネーターに迎えて行いました。オブザーバーとして参加された県農林水産部の瀧川拓哉参事も、「農家数の減少、非農家の割合増大、農地集積の進展といった変化に対応して適切に農業水利を保全・継承していく必要がある」として、「人のつながり」に着目した施策などについてもお話してくれました。

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最後に、秋田県平鹿地域振興局農林部長沢淳良部長が「農業農村における『水のつながり』やそれらを通した『人のつながり』を地域創生の源の一つと位置づけ、今後の農村振興や地域生活の活性化に結びつけていきたいと思います」と会を閉じました。

 


土地改良区合併のお知らせ

2016年2月4日

Filed under: お知らせ — 水土里ネット秋田 @ 5:21 PM

◆◇新生「秋田県仙北平野土地改良区」の誕生です◇◆

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1.合併後存続する土地改良区     秋田県仙北平野土地改良区

2.理事長              伊藤 稔

3.合併年月日            平成28年2月2日

4.住所・電話・FAX        秋田県仙北平野土地改良区 現住所並びに現番号

5.関係面積             9,599ha

6.組合員数             5,818人

7.解散土地改良区          秋田県七滝、秋田県仙北南部、秋田県仙北平野東部、大仙市横堀
仙北平野豊川、大仙市中仙南、大仙市清水北部、大仙市鶯野、仙北郡六郷町

8.その他              3月末まで、旧土地改良区には職員が駐在しています。