GNSS田植機用自動操舵システム実証試験

2018年6月18日

Filed under: お知らせ — 水土里ネット秋田 @ 3:49 PM

◇◆大潟村へ行って来ました◆◇

5月24日(木)大潟村でGNSS田植機用自動操舵システム実証試験が行われました。
当日は大潟土地改良区職員の方と一緒に実証田に行き、秋田県立大学生物資源科学部付属フィールド教育研究センター客員教授の矢治先生の説明を受け、実際にGNSS田植機を使用している農家の田中さんにご協力頂きました。

このGNSS田植機は、GPS受信機とアンテナを備え、村内の基準局からの電波により自動運転で位置を修正しながら作業できる仕組みとなっています。
現在基準局は、県立大学と北部排水機場に設置されており、今後は電波の弱い南側にも設置を計画しています。
大潟土地改良区ではこのGNSSシステムを8台購入し、2人に1台貸し出しています。
最初に、田植えの始める位置と終わる位置を定め基準の線を決めて、田植えに取りかかります。

 

 

メリットとしてGNSS田植機を使うことにより、田植のミスが減り自動操舵システムなので田植機に乗りながらでも常に後ろの植え付け状態が確認できるようになりました。
水張り量も今回の実証試験では8㎝と通常よりも多い水の量で作業ができ、田が空気に触れないため、雑草も生えにくくなります。
また、環境面からもGNSS田植機を使うことで八郎湖の水質改善効果が期待されています。大潟村の土壌は、その特性から代かき後に泥がほとんど沈澱しません。そのため一般的な大潟村の田植えは、代かき濁水を全て捨て、土壌につけた田植機のマーカーを見ながら行います。
一方、GNSS田植機は自動運転のためマーカーが不要で濁水を捨てる必要がないことから著しい水質改善効果が期待されます。無落水移植による取水量と排水量の削減など自然環境に配慮されていることが分かります。

 

デメリットとしてGNSS田植機で高速走行した場合、波による苗の浮きが生じ、特に走行終点で道路側、水路側にぶつかる時の波で浮きや抜けが生じる場合があります。GNSSがあるからといって湛水での高速走行は問題があるので、目に見えて時間が短縮される訳ではないということでした。
また、GNSS田植機では運転と苗補給が1名ででき人員削減には繋がりますが、高精度のGNSSシステムは高額(一式、約300万円)です。

実際の田植えの様子→(田植えの様子)

また、実際にGNSS田植機を使用している農家の田中さんは「最初に苗を植える際、機械の設定等で苗が浮いてきてしまったが、徐々にどのくらいの強さで苗を植えたらいいのかなどの設定が少しずつ分かってきた。以前は田んぼの端につきターンする際、気を使っていたが、今は気を使わずに済む。天候にも左右されず雑草が生えにくくなったので除草剤を蒔く手間もなくなった。GNSSシステムを付けたことで1シーズンに2回程あった植え付けのミスがなくなり、後ろも確認できるので正確に植え付けができるようになった。」と話しておりました。

私たちも実際にGNSS田植機に乗せて頂きましたが、外から見ている以上にスピードがあり、スムーズに苗を植え付けることができました。
ハンドルを握る必要がないため、周りの様子も確認することができ、以前よりも機械にかかる負担が少なくなりました。曲がらずに真っ直ぐ植えることにより、成長した後の管理も楽になります。

  

メリットがたくさんある一方で、デメリットもあるGNSS田植機ですが、北海道やヨーロッパでは既に普及しており、これから秋田においても、もっと普及し、農家の方々の負担が少なくなれば、将来農業に興味を持つ若い世代も徐々に増えていくと思うので、このような素晴らしい技術がもっと浸透・発展していくことを期待しています。


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