農業水利施設の紹介
Introduction to agricultural irrigation facilities

農業水利施設の紹介
農業水利施設は、河川などから取り入れた水を田んぼや畑に届けたり、排水したりする施設で、河川から水を取り入れるための頭首工(とうしゅこう)や農業用水を貯めておくため池、田んぼに水を取り入れる用水路や下流に流す排水路などがあります。
また、農業以外にも、防火用水や生活用水としての利用や、大雨による洪水被害の抑制等の多面的機能も有しています。
ここでは、水土里ネット(土地改良区)が維持管理している主な農業水利施設について紹介します。
頭首工とうしゅこう
頭首工とは、川をせき止めて、農業用水を用水路に取り入れる施設のことです。
頭首工は、施設の一番頭(上流)の部分にあることからこのように呼ばれています。
玉川頭首工(仙北市)

玉川頭首工(仙北市)

ため池ためいけ
ため池とは、主に農業用水の確保を目的として作られた人工の池のことです。
また、雨水の洪水調整など多様な機能を持つ農業用施設です。
勘兵工ため池(由利本荘市岩谷麓)
秋田県ため池保全サポートセンター

勘兵工ため池(由利本荘市岩谷麓)
揚水機場ようすいきじょう
揚水機場とは、標高の高い田んぼや畑に農業用水を供給するため、河川等からポンプで水をくみ上げる施設です。
大久保白洲野揚水機場(潟上市昭和大久保)

大久保白洲野揚水機場(潟上市昭和大久保)

給水管

ポンプ室

ポンプ室

排水路

排水路はいすいろ
排水路とは、農地で使った水や農地に降った雨を流す水路の総称で、用水路と同じく水路の規模のよって小排水路、支線排水路、幹線排水路に区別されています。
[上]幹線排水路(横手市大森町) [下]小排水路(男鹿市北浦野村)

[上]幹線排水路(横手市大森町) [下]小排水路(男鹿市北浦野村)
小水力発電施設しょうすいりょくはつでんしせつ
小水力発電施設とは、農業用水路等の水量と落差を利用して小規模な水力発電を行う施設です。
農業水利施設を活用した小水力発電により、自然環境にやさしい再生可能エネルギーの導入促進と、売電収入による土地改良施設等の維持管理費の低減を図ります。
仙平太田斉内地区小水力発電所(大仙市太田町)
- 施設管理者:秋田県仙北平野土地改良区
- 最大発電出力:43.4kW
- 年間発電電力量:25.9sWh(一般家庭70~80世帯相当分)
- 発電方式:らせん式水車(秋田県内初導入)


仙平太田斉内地区小水力発電所(大仙市太田町)


関田円型分水工せきたえんけいぶんすいこう
分水工とは、水源から流れてきた水を各農地へ安定供給するための施設です。
関田円型分水工は、直径10mの分水工で、180のオリフィス(孔)から出た水を10ヶ所の堰へ正確に給水することができます。
こちらの分水工は「円筒型サイフォン式」という様式で、秋田県では唯一の施設となっています。
令和6年12月3日には、国の有形文化財に登録され、現在も利用されています。

関田円型分水工(仙北郡美郷町)
詳細は下記リンクをご覧ください
秋田県仙北平野土地改良区
上郷温水路群かみごうおんすいろぐん
温水路とは、水路幅を広く、水深を浅くし、段を多く設けることで、水が空気と混ざり、水温が上昇するように設計された水路のことです。
鳥海山麓に広がる「上郷温水路群(かみごうおんすいろぐん)」は、昭和2年に建設が開始され、昭和35年に完成した日本初の温水路群で、長岡・大森・水岡・小滝・象潟の5本の温水路からなっています。
この地域の農業用水は、鳥海山の雪解け水や湧水を利用しているため、水温が低く、農作物の発育に影響を及ぼしていました。そこで、温水路を建設し、水温上昇を図ることにより、農作物の収量の増加に貢献してきました。

小滝温水路(にかほ市象潟町上郷)
詳細は下記リンクをご覧ください
美の国秋田ネット

